現代ロシアを読み解く
袴田茂樹、現代ロシアを読み解く―社会主義から「中世社会」へ
、ちくま新書、2002年
ロシアとはどういう国なのか。この点についてわかりやすく書かれたのがこの本だ。
まず、目次を掲載する。
第1章 松山ロシア捕虜のカルチャー・ショック
1 性悪説社会と性善説社会
2 日本人の畜生め! 日本を開国させたペリー提督の奴め!
松山は「ポチョムキン村」/ロシア人の「日本ショック」/今も変わらない日本とロシア/国後島での日本人のショック
第2章 二十世紀ロシアをどう見るか
1 二十世紀初頭からロシア革命まで
憲法発布と泡沫の自由主義/「社会の本当の病気」/H.G.ウェルズの観察
2 戦時共産主義からネップ、スターリン時代へ
スターリン主義体制は不可避だったのか/ネップの導入/ネップの行詰りと農業集団化/農村の惨状/市場に代わるもの−−厳格な賞罰システムとノルマ制/騙しあいと馴れあいのシステム
3 他の選択肢はなかったか
避けられない権威主義体制/人間不信の政治/ナショナリズムの復活/スターリン時代と農民的猜疑心
第3章 ペレストロイカからプーチン時代へ
1 ペレストロイカの意味するもの
ペレストロイカ時代の心理的転換/ゴルバチョフ登場とソ連邦の崩壊/知識人と民衆の「同床異夢」
2 エリツィン時代からプーチン時代へ
改革派のナイーブな誤り/ソ連邦崩壊後に生まれた「中世社会」/新ロシア人とアネクドート/「自然状態」にあるロシア
第4章 中世社会ロシア
1 国家に代わる秩序維持機関
毒を持って毒を制する:ロシアの「クルィシャ」/警察のビジネスとしてのクルィシャ/プーチン政策のパラドクス/ロシア人と日本人の規律感覚
2 ロシアと封建体制の問題をめぐって
ゲルツェンのロシア論/封建体制と信頼・契約関係/日本の封建制度/ロシアはホイジンガの世界/クリュチェフスキーのロシア史論
3 中世社会における生活の智恵
中世返りのエリツィン時代/秩序のための生活の智恵
第5章 ロシアに対する日本的アプローチ
「9月11日」事件と米露の接近/欧米人のロシア認識の特徴/伝統的メンタリティの根強さ/「開明的な権威主義」へ
(紹介者コメント)
この本はドイツ、日本、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、中国などと比較してロシア社会の特徴を述べている。著者によれば、ロシア人は自律性が乏しく、社会の秩序を維持するには強権的な政治体制が不可避であるが、様々な事情で国家が本来果たすべき秩序維持機能が働かない現在のロシアではクルィシャと呼ばれる警備保障会社(もともとは犯罪組織であり、合法的な活動をするようになって公的な治安組織の元職員も多数就職するようになった)が国家の代わりになっているという。このようなロシアに関する記述については著者の専門分野であり、説得力のある部分である。ただ、ほかの国に関する記述については判断を保留したい。それにしても、国民の大多数が自らを律する能力を十分持たない場合、権威主義体制がもたらされるということであれば、日本の将来は大丈夫なのだろうか。
ロシアとはどういう国なのか。この点についてわかりやすく書かれたのがこの本だ。
まず、目次を掲載する。
第1章 松山ロシア捕虜のカルチャー・ショック
1 性悪説社会と性善説社会
2 日本人の畜生め! 日本を開国させたペリー提督の奴め!
松山は「ポチョムキン村」/ロシア人の「日本ショック」/今も変わらない日本とロシア/国後島での日本人のショック
第2章 二十世紀ロシアをどう見るか
1 二十世紀初頭からロシア革命まで
憲法発布と泡沫の自由主義/「社会の本当の病気」/H.G.ウェルズの観察
2 戦時共産主義からネップ、スターリン時代へ
スターリン主義体制は不可避だったのか/ネップの導入/ネップの行詰りと農業集団化/農村の惨状/市場に代わるもの−−厳格な賞罰システムとノルマ制/騙しあいと馴れあいのシステム
3 他の選択肢はなかったか
避けられない権威主義体制/人間不信の政治/ナショナリズムの復活/スターリン時代と農民的猜疑心
第3章 ペレストロイカからプーチン時代へ
1 ペレストロイカの意味するもの
ペレストロイカ時代の心理的転換/ゴルバチョフ登場とソ連邦の崩壊/知識人と民衆の「同床異夢」
2 エリツィン時代からプーチン時代へ
改革派のナイーブな誤り/ソ連邦崩壊後に生まれた「中世社会」/新ロシア人とアネクドート/「自然状態」にあるロシア
第4章 中世社会ロシア
1 国家に代わる秩序維持機関
毒を持って毒を制する:ロシアの「クルィシャ」/警察のビジネスとしてのクルィシャ/プーチン政策のパラドクス/ロシア人と日本人の規律感覚
2 ロシアと封建体制の問題をめぐって
ゲルツェンのロシア論/封建体制と信頼・契約関係/日本の封建制度/ロシアはホイジンガの世界/クリュチェフスキーのロシア史論
3 中世社会における生活の智恵
中世返りのエリツィン時代/秩序のための生活の智恵
第5章 ロシアに対する日本的アプローチ
「9月11日」事件と米露の接近/欧米人のロシア認識の特徴/伝統的メンタリティの根強さ/「開明的な権威主義」へ
(紹介者コメント)
この本はドイツ、日本、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、中国などと比較してロシア社会の特徴を述べている。著者によれば、ロシア人は自律性が乏しく、社会の秩序を維持するには強権的な政治体制が不可避であるが、様々な事情で国家が本来果たすべき秩序維持機能が働かない現在のロシアではクルィシャと呼ばれる警備保障会社(もともとは犯罪組織であり、合法的な活動をするようになって公的な治安組織の元職員も多数就職するようになった)が国家の代わりになっているという。このようなロシアに関する記述については著者の専門分野であり、説得力のある部分である。ただ、ほかの国に関する記述については判断を保留したい。それにしても、国民の大多数が自らを律する能力を十分持たない場合、権威主義体制がもたらされるということであれば、日本の将来は大丈夫なのだろうか。
アニメーション学入門
津堅信之、アニメーション学入門
、平凡社新書、2005年
読売新聞社が行った「読書」に関する全国世論調査の結果http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061029it11.htmによると、1ヵ月間に本を1冊も読まなかった若者の割合が増えているという。さらに毎日新聞社が行った学校読書調査(小学生・中学生・高校生が調査対象)の結果http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20061027ddm010040055000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20061027ddm010040056000c.htmlを見ても、中学生と高校生が1ヵ月に読む本の冊数の少ないことがわかる。
だが、毎日新聞社が行った読書世論調査の結果
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/26/20061026ddm010040047000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/26/20061026ddm010040048000c.html
によると、若者の読書に対する意欲が高まっていることもまた事実である。
読書を単なる趣味の1つと考えれば、以上のような状況を特に問題視する必要はないだろう。しかし、筆者のように読書は知的能力を向上させる重要な手段であり、社会の中で本を読む習慣のある人の割合があまりにも少なくなると社会全体の知的水準が低下するおそれがあると考える者にとっては、このような状況を放置しておくわけにはいかない。
毎日新聞社の読書世論調査の結果を見ると、テレビドラマや映画などの映像作品を観て、その原作本に興味を持つ人はかなりの割合を占める。そこで、アニメーションとこれに関連した本を紹介することで読書を推奨しようと思う。
なぜ、アニメなのかといえば、アニメのほうが幅広い年齢層の人が楽しめると考えたからだが、これを機会にいまや日本を代表する大衆文化であり海外からも注目されている日本のアニメをもっとよく理解したいという気持ちもあるからだ。
そこで、アニメーションというものを理解しようとする際によい入門書となるのが、今回紹介する『アニメーション学入門』である。まず、目次を掲載する。
序章 日本アニメーションの現状と「アニメーション学」
第1部 総論−−アニメーションとは何か
第1章 アニメーションとは何か
1 どのような仕組みの映画がアニメーションなのか−−アニメーションの定義
2 アニメーションの定義の変遷
3 アニメーションの元祖−−映像玩具のいろいろ
4 アニメーションの媒体
5 アニメーション表現の特性
6 アニメーション制作の基本的な流れ
第2章 アニメーションの歴史
1 アニメーションの発明
2 世界アニメーション史の流れ
3 日本アニメ発達のプロセス
第3章 アニメーションの分類
1 平面アニメーション
2 半立体アニメーション
3 立体アニメーション
4 その他
第4章 アニメーション研究の歴史と現状
1 アニメーション研究領域の全体像
2 アニメーション研究略史
3 アニメーションの学術的研究の現状と今後
第2部 各論−−アニメーションの広がり
第5章 日本のアニメーション
1 テレビアニメ
2 劇場用長編アニメ
3 オリジナルビデオアニメ(OVA)
4 その他、CMアニメショーン、プロモーション・ビデオなど
5 アート系アニメショーン
6 漫画とアニメの関係
7 アニメブームとアニメファン
8 日本アニメ産業の現状と今後
第6章 海外のアニメショーン
1 アメリカ
2 カナダ
3 フランス
4 イギリス
5 ロシア
6 チェコ
7 その他の欧米諸国
8 アジア諸国
(紹介者コメント)
この本はアニメを体系的に理解しようとする際に最初に読むといいものだが、個々の作品についてはさほど詳しい情報が載っていないので、この点についてはほかの本で補う必要がある。
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読売新聞社が行った「読書」に関する全国世論調査の結果http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061029it11.htmによると、1ヵ月間に本を1冊も読まなかった若者の割合が増えているという。さらに毎日新聞社が行った学校読書調査(小学生・中学生・高校生が調査対象)の結果http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20061027ddm010040055000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/gakugei/news/20061027ddm010040056000c.htmlを見ても、中学生と高校生が1ヵ月に読む本の冊数の少ないことがわかる。
だが、毎日新聞社が行った読書世論調査の結果
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/26/20061026ddm010040047000c.html
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/10/26/20061026ddm010040048000c.html
によると、若者の読書に対する意欲が高まっていることもまた事実である。
読書を単なる趣味の1つと考えれば、以上のような状況を特に問題視する必要はないだろう。しかし、筆者のように読書は知的能力を向上させる重要な手段であり、社会の中で本を読む習慣のある人の割合があまりにも少なくなると社会全体の知的水準が低下するおそれがあると考える者にとっては、このような状況を放置しておくわけにはいかない。
毎日新聞社の読書世論調査の結果を見ると、テレビドラマや映画などの映像作品を観て、その原作本に興味を持つ人はかなりの割合を占める。そこで、アニメーションとこれに関連した本を紹介することで読書を推奨しようと思う。
なぜ、アニメなのかといえば、アニメのほうが幅広い年齢層の人が楽しめると考えたからだが、これを機会にいまや日本を代表する大衆文化であり海外からも注目されている日本のアニメをもっとよく理解したいという気持ちもあるからだ。
そこで、アニメーションというものを理解しようとする際によい入門書となるのが、今回紹介する『アニメーション学入門』である。まず、目次を掲載する。
序章 日本アニメーションの現状と「アニメーション学」
第1部 総論−−アニメーションとは何か
第1章 アニメーションとは何か
1 どのような仕組みの映画がアニメーションなのか−−アニメーションの定義
2 アニメーションの定義の変遷
3 アニメーションの元祖−−映像玩具のいろいろ
4 アニメーションの媒体
5 アニメーション表現の特性
6 アニメーション制作の基本的な流れ
第2章 アニメーションの歴史
1 アニメーションの発明
2 世界アニメーション史の流れ
3 日本アニメ発達のプロセス
第3章 アニメーションの分類
1 平面アニメーション
2 半立体アニメーション
3 立体アニメーション
4 その他
第4章 アニメーション研究の歴史と現状
1 アニメーション研究領域の全体像
2 アニメーション研究略史
3 アニメーションの学術的研究の現状と今後
第2部 各論−−アニメーションの広がり
第5章 日本のアニメーション
1 テレビアニメ
2 劇場用長編アニメ
3 オリジナルビデオアニメ(OVA)
4 その他、CMアニメショーン、プロモーション・ビデオなど
5 アート系アニメショーン
6 漫画とアニメの関係
7 アニメブームとアニメファン
8 日本アニメ産業の現状と今後
第6章 海外のアニメショーン
1 アメリカ
2 カナダ
3 フランス
4 イギリス
5 ロシア
6 チェコ
7 その他の欧米諸国
8 アジア諸国
(紹介者コメント)
この本はアニメを体系的に理解しようとする際に最初に読むといいものだが、個々の作品についてはさほど詳しい情報が載っていないので、この点についてはほかの本で補う必要がある。
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